フクモモさんの思い出アルバム

フクモモさんの思い出アルバム No.0044|わくわくなのっ

潮の香りがふたりを包んでいた。青と白の境目で、波が岩にぶつかるたびに、小さなしぶきが虹をつくる。フクモモさんとひげちょうさんは、風の音に耳をすませながら立っていた。
フクモモさんの思い出アルバム

フクモモさんの思い出アルバム No.0043|おひるねなのっ

午後の光がゆるやかに傾いて、空気がほんのり金色に変わっていった。花の赤がやさしく眠るように光って、そこにぽすん、と小さな寝息が落ちる。
フクモモさんの思い出アルバム

フクモモさんの思い出アルバム No.0042|あそんだのっ

午前の光が、まだ柔らかかったころ。風にそよぐ彼岸花の群れが、赤い波みたいにゆれていた。その波の上を、フクモモさんとどりとりさんが笑い声を散らしながら飛んでいた。
フクモモさんの思い出アルバム

フクモモさんの思い出アルバム No.0041|さいていたのっ

——夜明け前のフクモモ島。潮風にまざって、古い写真を広げる音が聞こえた。光の粒が一枚の写真の上に落ちると、そこにいたのはフクモモさんとうたぎさんだった。
フクモモさんの思い出アルバム

フクモモさんの思い出アルバム No.0040|みっ!?

陽の光を浴びて、水しぶきがキラキラと空中に舞い上がる。まるで小さな宝石の雨。池のそばでは、驚いたような声と、水音が重なって響いた。語り手として目を向けると、フクモモさんとうたぎさんが、水の勢いにのまれて宙に浮かんでいた。
フクモモさんの思い出アルバム

フクモモさんの思い出アルバム No.0039|おひるねなのっ

池の水面に映る青空は、ゆらゆらと風に揺れている。葉のあいだから差し込む光が水に反射して、あたりをやさしく照らしていた。睡蓮の花がひとつ、そっと開きはじめ、まるでその時間の流れさえも止まっているかのよう。語り手として近くで見つめていると、葉の上でまどろむフクモモさんと、見守るうたぎさんの声が、そよ風にのって聞こえてきた。
フクモモさんの思い出アルバム

フクモモさんの思い出アルバム No.0038|あそぶのっ

黄金色に染まりかけた「ソーセージばたけ(ガマの穂の群れ)」が、風にゆれてざわざわと笑っているようだった。夕陽をうけて穂先が光り、草の波の中で小さな影がふたつ、ぴょんぴょんと跳ねていた。語り手としてその景色を見つめると、フクモモさんとうたぎさんのはしゃぐ声が、秋風にまじって聞こえてきた。
フクモモさんの思い出アルバム

フクモモさんの思い出アルバム No.0037|ゆめじゃないのっ?

やわらかな午後の日差しが、どこか懐かしい小さな村を包んでいた。茅葺き屋根の家、井戸端で話す人たち、軒先に干された野菜…。けれどその景色は、どこか“現実と夢の境目”のようにも見えた。語り手としてその場を見つめると、フクモモさんとうたぎさんの声が、まるで夢の中から届くように響いてきた。
フクモモさんの思い出アルバム

フクモモさんの思い出アルバム No.0036|おやすみなさいなのっ

午後の陽ざしが少し傾き、赤い花びらに金色の光がとけていく。花の中心では、小さな虫たちがまだ蜜を集めていて、そのそばでフクモモさんがすやすやと眠っていた。語り手として近くで見守っていると、うたぎさんが静かにやってきて、そっとその寝顔を見つめながらつぶやいた。
フクモモさんの思い出アルバム

フクモモさんの思い出アルバム No.0035|おいしそうだったのっ

陽ざしの中で、赤い花びらがまるでガラス細工のようにきらめいていた。花の中心では、小さな虫が一生けんめいに蜜を吸っていて、その姿を見つめるフクモモさんの目がまんまるに輝いていた。語り手としてそっと見守ると、フクモモさんとどりとりさんの楽しげな声が、花の香りに乗って広がっていった。